コーポレートストラテジー
【前編】キッズプログラム in 世界水泳2023福岡 ~カメラの原理を知る、子どもたちの自由研究~
熱戦が繰り広げられた、『世界水泳選手権2023福岡大会』(開催期間:7月14日~30日)。ニコンもオフィシャルパートナーとして、スポーツの限界に挑むアスリートにエールを送りました。また、未来を担う子どもたちにニコンの事業を通して、「学ぶ」楽しさを育み、未来の社会を担ってほしいという想いから、子どもたちを対象としたキッズプログラムをはじめとする様々なアクティベーションを展開し、大会の活気づくりにも力を添えました。
この記事では、本大会におけるニコンの様々な取り組みの模様を前編と後編に分けてお伝えします。
企業ブースでは、ニコンの取り組みを発信
競技会場の一つ「マリンメッセ福岡」の特設会場『Fukuoka Ichiba』では大会期間中、福岡ならではの食を発信する飲食店や物販をはじめとしたさまざまな催しが行われました。ニコンも会場内にブースを設け、観戦にお越しのお客様をお迎えしました。
ブース内では、ニコンのCMキャラクターである俳優 北村 匠海さんが出演するテレビCMやメイキング映像を放映してニコンの事業を訴求したほか、表彰台を模したフォトコーナーを用意し、来場者に撮影をお楽しみいただきました。なお、ブースでは連日さまざまなプログラムを実施。後述する「カメラ制作ワークショップ」「顕微鏡ワークショップ」を通じてニコンの事業やプロダクトに触れてもらったほか、円型の木に好きな文字やイラストを描く「メダルづくりワークショップ」、選手が使用するものと同じデザインでオリジナルのゼッケンをつくる「ゼッケンづくりワークショップ」といった大会に連動した企画で、子どもたちの夏の思い出づくりをお手伝いしました。
国際大会の舞台裏を支援するニコンのサービス&プロダクト
一方、競技会場では、プロフォトグラファーやメディア関係者が自由にご利用いただけるホスピタリティラウンジを大会史上初めて開設。くつろぎの空間とケータリングの提供でおもてなししたほか、ニコンの新製品「Z 8」やフラッグシップ機「Z 9」のタッチ&トライコーナーを設け、ニコンの最新機種に触れる機会をご用意しました。
このほか、選手を対象にプロフォトグラファーが撮影するフォトスポットや、プロフォトグラファーへの支援を目的とした、「NPS(Nikon Professional Services)」のサービスデポを設置し、カメラ機材の点検、清掃、修理、貸出などのサポート・サービスを実施しました。
オフィシャルパートナーのニコンだからできる、キッズプログラムを実施
7月24日、26日は、九州地方在住の小中学生をそれぞれお迎えし、普段では見られないプロの現場を巡る「バックステージツアー」と、ニコンの事業に触れながら楽しく学べる「ワークショップ」からなるキッズプログラムを実施。さまざまな視点から大会を楽しんでもらいました。
まず案内したのは、世界最高峰のスイマーが一堂に集う競技会場。国際大会を生で観るのは初めてという子どもたちは、大観衆で盛り上がる会場の熱気と選手たちの白熱した戦いに興奮しながらも、レースが一つ終わるたびに大きな拍手を送ります。
競技観戦後はバックヤードを見学します。まずは観客席からプールサイドに下り、選手と同じ目線でプールを眺めます。照明の光で揺らいで見える水面を前に、子どもたちからは「観客席から観るよりもプールが大きく感じる」と、声が上がります。次は会場全体を一望できる表彰台へ。ここでは本物のメダルを首にかけ、それぞれ写真に収まりました。その後は、選手しか歩くことのできないインタビューゾーンを体験し、ニコンが運営するNikon Professional Servicesが運営するサービスデポへ。カメラやレンズなど多数の機材が並ぶ室内では、ニコン社員がカメラを修理点検する様子を見学したり、実際の機材でシャッターを切る体験をしたりしました。
カメラの原理とデザインを学ぶキッズ向けワークショップ
キッズプログラムの後半は、いよいよワークショップです。「カメラワークショップ」では、カメラオブスキュラと呼ばれるカメラの原型をつくりました。
カメラオブスキュラとは、写真の原理による投影像を見られる装置をいいます。暗くした箱の一つの側面に開けた小さな穴に光が通ることで、上下逆さまに投影された像を得ることができるものであり、哲学者のアリストテレスが発見したといわれています。外の景色が忠実に写し出されることから、フェルメールをはじめとする画家が素描に用いるようになったことでも知られています。
ワークショップは、デザインセンター所属の社員が講師を務めました。子どもたちに用意されたのは、2枚のレンズとクラフトペーパー、スクリーンに見立てたトレーシングペーパーの3種類。これらを使って、まずはカメラを組み立てます。最初にクラフトペーパーを折って、筐体となる「箱」と「やね」をつくります。クラフトペーパーは型通りに折れるようになってはいるものの、正確に組み立てるのは、なかなか大変です。「箱」の中に不要な光が入ってしまうと像はきれいに写りません。子どもたちは隙間ができないよう、ていねいに折って黒いテープで固定します。
続いて、レンズとなる筒の組み立てに挑戦。箱の側面に開けられた円の大きさに合うようにクラフトペーパーを丸めてレンズを装着し、ドッキングします。これでカメラオブスキュラは完成。箱をのぞき込み、やねに乗せたトレーシングペーパーに像が写し出されれば、成功です。レンズを前後にゆっくりと動かし、ピントを調整すると……像が出現。黙々と手を動かしていた子どもたちの真剣な表情が、一瞬で笑顔に変わります。
次はデザインの工程です。事前に講師から「デザインとは、ものごとをよくすること」と説明を受けた子どもたち。「水泳大会で使うカメラ!」というテーマのもと、まずはグリップをつくります。どんな持ち方が撮りやすいかなど、水泳大会を実際に見てみて感じたことを思い出しながら考えてもらいました。一人ひとり真剣に考え、アイデアを形にしていきます。グリップが完成したら、次はカメラの装飾です。ここはワークショップの中で一番盛り上がる時間です。カラフルなモール、大小色とりどりのビーズ、シールにリボン、布地など、たくさんの装飾材の中からそれぞれ自分のイメージに合うものを見つけ出し、カメラに飾り付けします。
最後は、一人ずつ作品を発表します。
お母さん、お姉ちゃんと一緒に参加したえいたくん(小2)のカメラは、その名も「大会カメラ」。撮影者が持ちやすいように「グリップはレンズの反対に付けた」とのこと。「カメラの仕組みを不思議に感じた」と、感想を話してくれました。
自分のつくったカメラを見て、「おじいちゃん家で飼っている犬に似ている」と話していたのは、ともきくん(小6)。披露してくれたのは、レンズの斜め上に目玉シールを2枚貼った「犬」のカメラ。そうい言われると、たしかに犬に見えてきます。できあがったカメラは「お母さんにプレゼントしたい」と言って、顔をほころばせます。
工作が好きだというあやめちゃん(小5)は、自分のカメラを「カラフルカメラ」と名付けました。プールの雰囲気を鮮やかな水色のモールで表現し、たくさんの色と素材を使ってかわいらしく仕上げています。カメラ側面に一つずつグリップを付けたのは、「両手で持てると安定するし、確実に撮影できるから」。世界で一つだけのカメラを眺めながら、嬉しそうに笑います。
ワークショップは、できあがったカメラを持っての記念撮影で締めくくられました。終了後はカメラでお母さんやきょうだいを撮影したり、スクリーンに像を写したりと、子どもたちの楽しい時間はしばらく続きました。
以下、子どもたちの感想を一部紹介します。
「自由研究のテーマにしようと思い、参加しました。レンズをはめるところが難しかったです。バックステージツアーでは、選手と同じコースを歩けて楽しかったです」
「きょう一日楽しかったです。一番面白かったのは、本物のカメラに触れたこと!」
「箱を組立てるのが大変だったけれど、形になると面白いと思いました」
4時間にわたるプログラムでしたが、夏の暑さ、大会の熱狂にも負けない元気いっぱいの子どもたち。全身で楽しもうとする一人ひとりの姿がとても印象的でした。
後編は、ミクロの世界を覗く「顕微鏡ワークショップ」の様子を中心にお届けします。